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  • 執筆者の写真深沼悠花

混雑は「解消」じゃない、「制御」せよ〜現実路線から考える〜

-この記事はSimutransAdventCalendar2019企画の一環です- https://adventar.org/calendars/4018 Simutransは、しばしば「混雑解消ゲー」とよく揶揄されます。

でも、その遊び方は本当に正しいのでしょうか? 私としては、「混雑」を「制御」するのが本来の遊び方ではないか?と思うのです。

この記事においては、現実鉄道路線の種別や系統設定をSimutransのシステムに落とし込みながら、いろいろ考えていきます。

①「種別」の意義とは

現実世界では、実質的に「速達性」と同義です。 一般には、停車駅が少ないほど「速い列車」として認識されます。 某京王みたいな詰まり連発で低みの特急の話はさておき、です。

「速い列車」の認識に関してはSimutransにおける旅客流動でも同義です。特に複数社を動かすマップやNetSimutransにおける乗客の強奪・押し付けで非常に重要な役割を持ちます(NetSimutransの闘い方は12/1のペルリ摩周丸先生の記事に詳しく記述されておりますのでご覧ください http://pm1965.hatenadiary.jp/entry/2019/12/01/000131 )。

Simutransにおける種別と旅客流動ついて、阪急京都線を例に説明してみます。


阪急京都線は、日中は「普通、準急、特急」の3種別で運行されています。

普通は各駅に停車し、日中ほとんどの列車が途中の高槻市止まりになっています。

準急は河原町〜高槻市まで各駅に止まり、梅田までの主要駅と一部の副主要駅に停車します。

特急は主要駅のみに停車し、梅田への最速達列車の役割を持っています。 河原町駅、烏丸駅は京都市内の主要駅です。

特に烏丸駅では地下鉄烏丸線に接続し、南北から乗客が集まってきます。

さて、烏丸駅2号線に特急がやってきます。 この時点で、「桂、長岡天神、高槻市、茨木市、淡路、十三、梅田」へ向かう旅客が乗り込みました。

続いて準急がやってきます。 こちらは先程乗れなかった「高槻市までの特急通過駅と準急停車駅」に向かう旅客が乗り込んでいます。 さて、特急停車駅は全て「需要の大きい駅」です。 桂では嵐山方面、高槻市では特急・準急の通過駅に、淡路では千里線と堺筋線方面へ、十三では神戸宝塚方面、梅田では各線に乗り換えられます。 これらの主要駅への旅客を特急に載せてしまうことで、後ろの停車駅の多い準急への負担を減らしているのです。

ここで特急がない京都線を考えてみましょう。但し他社線は考慮外としてみます。 準急には、当然全線分の旅客が集中します。Simutransにおいては、ルートコストの小さい順に客が乗るので、各駅への旅客が容量を圧迫していきます。恐らく、十三経由の旅客を載せたあたりで満員になるでしょう。 烏丸の時点で梅田経由を載せきれない……となるとどんどん梅田経由が駅に堆積します。他の各駅からは乗れないので、途中駅に向かう客すら満足に載せきれない……という状況は容易に想像がつきます。

赤棒を建てないために、輸送制御を実例とともに学んで行きます。

②路線の構造によって異なる種別設定 鉄道路線といっても、その構造によって種別設定は異なってきます。

賛否両論ありますが、大手私鉄の路線パターンからこんなふうに分類してみました。

1.都市間輸送型

さきほど述べた阪急京都線もその1つです。このような路線では優等種別の設定で、ターミナル駅での乗客の誘導や分散を図ります。多くの路線で一部区間で各駅に停車、または副主要駅にも停車する準優等種別が設定されています。

2.ベッドタウン型

阪急宝塚線、泉北高速線や南海高野線(こちらは定義上ギリギリ)が合致します。 末端で大需要路線との接続がなく、途中駅からすべての種別(もしくは無料種別)が各駅停車になります。

3.半ベッドタウン型

1.に挙げた都市間輸送とベッドタウン輸送の両方の特徴を合わせ持っています。末端で中〜大需要路線に連絡しており、ベッドタウン輸送と全区間における優等種別の運行の両立が求められます。 東急田園都市線や京王相模原線、南海本線が挙げられます。

4.樹木型路線

この例は少なく、東武鉄道伊勢崎線・東上線、京急線、近鉄南大阪線系統、神戸電鉄が合致しています。 片方向(大都市)への需要が大きく、逆方向へは先細りしていきます。複数の支線を持っており、ターミナル駅から支線へ直通する列車が存在します。 優等種別が末端区間では各駅停車になります。伊勢崎線系統の場合は2006年改正までがこれに当たります。

こう分けてみると、グレーゾーンが多くて困りました。 さて、分けてしまえば簡単ですね。 この分類にあてはまる路線ごとに対応を変えればよいのです。

…と一筋縄に行かないのがSimutransです。実際に運行してみると旅客流動が予想外だったり、輸送力が足りなかったり。 そんなときの対応法がいくつかあります。

(0.)長編成化と増発

大正義10両編成。高間隔運行。 まずはそこから。それでも運びきれないときは以下の方法で。

①区間便を設定する 王道の解消法です。 区間便は大ターミナル側(=その駅行きの客が多い)途中駅での混雑解消に有効です。近鉄で例えるなら、「高安-上本町間の普通電車」みたいな感じです。

②全線通しの各停を避け、各停を系統分断する 何かと18きっぱーに嫌われる系統分断ですが、Simutransにおいては非常に重要です。 系統分断とは、途中の駅で各停を完全に別の路線として分けてしまうことです。これは旅客制御において非常に大きな意義を持っています。

1.小駅への需要をある程度優等種別に押し付けられる というのは、分断することで分断した駅(これをA駅とおきましょう)から先の小駅に向かう客を優等列車に乗せることで、A駅経由の乗客として纏めることができます。全線通しの各停だと、路線終わりの方の駅に向かう客が始発駅やターミナル駅に溜まってしまい、赤棒を誘発してしまいます。

2.逆も然り A駅から先の駅に向かう客はA駅でどうしても降りざるを得ません。 この状況において、旅客の大半の行き先が終点ターミナル駅だとしましょう。この旅客もまた優等列車に纏めて乗せることができ、後半が混みがちなA駅始発の各駅停車の混雑を緩和させられます。

3.デメリット 1区間あたり平均で乗る客が少なくなるので収益は若干悪化しますが、背に腹は変えられませんよね?ね?

さて、ここからは状況に特化した情報です。書いてる途中にトップバッターのペルリさんと被るネタであることに気づいたのですが遠慮なくぶっ放します。

・都市間路線かつ各停の系統分断をしている場合の旅客制御

さて、先程述べた通り、各停の系統分断が効果を発揮するには優等列車が必要でした。

さて思ったでしょう、「その優等が混んでたらどうするの?」 そのための長編成化以外の解決法として、「さらに優等の列車を設定する」があります。 主要駅から更に絞り、A駅(前の項で述べたものと同じ条件)も通過する列車を設定します。 これを特急とおき、A駅にも止まる優等を急行とします。

特急の設定によって、A駅経由の旅客は急行が運び、終着駅含む主要駅の旅客は特急が持っていきます。 こうすることで停車駅の多い急行を空けることができます。

・バス路線の結節駅と優等列車の停車駅について

バス路線は、基本的に各駅ごとに市内輸送を目的に鉄道線の駅を基準に1系統が発着させるのが基本ですが(これは人によりけりですがあくまで私の例です。)、都市が巨大化していると複数系統が発着する駅が発生します。そういう駅はどうしても旅客が溜まりがちです。なので、必要に応じて優等種別を停車させる形が理想になります。

ここで先程述べた系統分断駅の設定がポイントになってきます。 分断駅から大需要側なら優等とうまく分けられますが、逆なら大需要側に行く客が優等列車に集中します。 そういう状況は避けたいので、 「分断駅より少需要側途中駅を始発として終点まで行く各停の区間便」 を設定するのも一つの解です。

・間隔を均一化しよう

列車間隔が偏っていると、列車によって混雑のばらつきが生じたり、列車が空白のあいだに赤棒が立ったりして、正しく輸送実態を掴めないことがあります。 そんなときは、待機時間を設定して、一定間隔を開けて発車するようにします。これによって、混雑の平準化が可能になり、輸送実態を正しく把握できます。 OTRPを使っている人であれば、時間指定発車機能を用いてみましょう。 完全な等間隔で車両を運行でき、standardより増発が可能になることもあります。

(こちらはotrp開発者のhimeshi先生の記事(後日公開)をご参照下さい。)

さいごに-総括-

書きたいこと書きたい放題してしまりのない感じですが、プレイの参考になるようなやらかしがちな例を念頭に置いて書いてみました。 Simutransにおいては、とにかく国鉄型の長距離系統設定は不利です。赤棒が立ちます。ちなむと貨物はリアルに赤棒が建ってたそうですよ!人権がない。 言ってしまえば、路線や系統設定においては私鉄型が有効であるということになります。

私鉄の路線図や時刻表を眺めて、脳内でSimutransに落とし込んでみると意外な事実が見えてきます。 これらはあくまでプレイの一例ですが、他にも旅客制御に有用な例がたくさんあります。是非身近な私鉄を参考に系統を組んで、赤棒の建立を回避し、積極的に効率輸送を実行しましょう!

P.S.次は以前から積んでいた阪神7801/7000を公開予定です。 そのあとは近鉄1400/2050あたりを作ってしまう予定です。しばし待たれよ

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